
木工所と塗装場があることがdacの大きな強み
塗装部 斎藤恵太 | サウナ東京
スタジオ塗装部に籍を置く斎藤恵太さん。高校時代に模型部でプラモデルを作りながら塗ることの楽しさに目覚め、塗装の仕事を目指すようになった。
「この素材を活かすにはどの塗料が合うのか、どんな塗り方がいいのか、一つひとつ考えたことが目に見える形で表れていく過程が、塗装の面白さです。仕事で学んだことが趣味に活かせ、その逆もあって、その繰り返しが楽しいですね」
主に、木工部が組み立てた家具や什器の塗装を担当。案件によっては店舗に出向き、内装の塗り替え作業も行う。
「最後の最後の工程の塗装で、傷つけるなんてもってのほかですし、塵一つも残すことは許されません。それまで関わったすべての職人たちの作業が台無しになってしまうので、細心の注意を払い、仕上げに臨んでいます。木工所と塗装場があることはdacの大きな強み。塗装の視点から『この作りだと塗りにくいので、分割した状態で塗装場におろしてほしい』といったやり取りを直接しながら一貫して作業を進められるので、時間のロスが減り、納期を最大限に縮めることができます」
その良さを活かすことができた案件の一つが、6年目で任された<サウナ東京>の現場だった。当初の予定よりも施工期間が短くなったが、無事に納期内に作業を終えることができた。自らの成長にも繋がったという。
「デザイナーさんが使いたいと考えていたのが、砂の混じった特殊な塗料でした。吹き付け器もかなり大きく、あえて飛び散らせる方法を採ったんですが、やり方は知っていても実際に作業するのは初めてで、特に印象に残っています。水風呂につくヒノキ材の防水塗装も行いました」

その現場では年次こそ一番下だったが、4人のチームを任されることに。ベテランの職人をまとめるプレッシャーを感じていた分、達成感も大きかった。
「dacには50年ほどのキャリアを持つ、73歳で現役の先輩もいます。新人時代の僕は、失礼のないようにどこか引いていたところがあったんですが、年数を重ねて経験が増え、実力も備わっていくにつれて、ベテランの職人さんたちとのコミュニケーションも上手く取れるようになってきました。これからdacに入って来られる方は、そんなに年の離れた大先輩がいるのかと心配になるかもしれません。正直、以前の僕は目も当てられないほど、怖気づいていましたから(笑)。でも、自ら技術を学ぶという姿勢があれば、必ず受け入れてくれますので、気負わないでほしいです」
入社9年目でそろそろ中堅どころに差し掛かる斎藤さん自身も、学ぶ姿勢は変わらない。
「塗装の方法は多種多様で、たとえば木が風化したような質感を出すためにわざと汚すエイジング塗装には、染色剤や材料によって仕上がりがまるで変わります。何千種類とある組み合わせの中からいろいろ試す奥深い作業を通じて、次の仕事に活かせる技術や知識を得ようと心掛けています。技術と知識はどんどん吸収していかないと。その基本は、先輩の仕事を“見て盗む”。さらに同業者から情報を仕入れ、お客様の要望に応える努力を尽くしたいです」

斎藤さんが感じる木の良さは温かみ。それを活かすのも塗装の腕次第だという。
「楢や松などは、木の肌を活かす塗装が多いですが、一方であえて木目を埋めてほしいという要望もあります。また、ラワン材という木肌がすごく粗く、表面がザラザラしたものだと下地に時間がかかり、クリアに仕上げるのが大変です。でも僕は考えることが好き。特殊で作業工程が多く大変なものほど、やりがいがあります。東京の再開発を見ていると木製品が使われていることが多く、木の需要は増えていると感じます。今後は、時代の波にのってdacの持つ木という強みを社が一丸となって活かせるように頑張っていきたい。新たに掲げたWood, Works, Wellbeingはそのための全社員の共通認識となり、結束力をより一層強めてくれると思います」
斎藤恵太 | 2017年入社、スタジオ塗装部 所属。塗装部の若手として工場から現場塗装まで幅広く担当。趣味のプラモデル塗装でコンテスト入賞を狙う。 |


